2010年12月にNTTドコモにてサービスが始ったLTE(Long Term Evolution)。
LTEは携帯電話の現在の主流技術である「W-CDMA」や「CDMA2000」に
変わる新しい通信規格です。日本では「3.9G」とも言われています。
現在の主流技術である「W-CDMA」や「CDMA2000」のことを
「3G(第3世代)」と呼ばれています。
LTEは「3.9G」と呼ばれ、LTEのその先の技術である「IMT-Advanced」と
呼ばれる「4G」への移行も考慮された技術。
これまでとこれからのモバイル通信技術の流れを以下にまとめました。
3Gと3.9Gの間には、「3.5G」と呼ばれる「HSPA」や「EV-DO」を使って、
数Mbpsの速度を実現する技術も存在しています。
LTEは効率よく4Gへ移行することを考慮しつつ、現行の3Gとも
連携できるような技術が盛り込まれているのも特徴の1つです。
ちなみに海外では、LTEで飛躍的に速度が向上していることから、
3.9Gではなく「4G」と呼ばれることもあります。
LTEの強みは様々ありますが、なんといっても「高速」であるという点と、
「低遅延」であるという点が大きな特徴です。
今までの規格との速度の違いを表にしてみるとこんな感じ。
上記はあくまで使用としての最大速度で、すでにサービスが始まっている
NTTdocomoのLTEサービスの場合、下りの最大通信速度が屋外で37.5Mbps、
一部の屋内施設では条件によっては7 5Mbpsになるとしています。
LTE以外でも高速をウリにした通信規格は存在します。
例えば、HSDPAやWiMAXなどは40Mbps以上の速度を実現しています。
しかしそれでもLTEが注目されるのは、規格の仕様としては
まだまだ速度が伸びるという点。
仕様上は、下り最大300Mbps、上りでも最大75Mbpsまで
可能とされています。
現在は、仕様上の最大速度を実現するには、いくつか課題があるため
すぐに300Mbpsが可能というわけではありませが近い将来には
FTTHサービスなどの有線ブロードバンドサービスを凌駕してしまう
存在になるかもしれません。
速度以外にもLTEには大きな強みを持っています。
それが、「低遅延」であるという点。
遅延時間は、LTE端末がネットワークに接続(コネクションの確立)する
遅延時間と、通信中にネットワーク内のデータ伝送にかかる遅延時間の
2つがありますが、LTEの仕様として決められている遅延時間は以下になります。
低遅延を実現させているしくみは、単純に3Gよりもネットワークの
構成をシンプルにしているため。
モバイルのネットワークは、基地局からゲートウエイまでの
「無線アクセスネットワーク」と、各制御機器やユーザー情報を管理する
機器などで構成される「コアネットワーク」に分けられます。
このうち、LTEは3Gと比べて無線アクセスネットワークの構成を
シンプルにし、さらにコアネットワークの経由するノードを減らす
ことで低遅延を実現させています。
3Gの遅延時間には特に目標値は決められていませんが、
実際に確立までに数秒かかっていますので、LTEの導入によって
遅延時間が飛躍的に改善されると予想されます。
このように、LTEの大きな特徴である、高速化と低遅延を生かした
「音声とデータの複合サービス」や「大容量のデータを扱ったサービス」
などが続々出てくるのではないでしょうか。
実際にNTTdocomoが、LTEを使った動画データのダウンロードや、
クラウド上の同時通訳サービスを利用したテレビ電話サービスのデモ
などが公開されています。
◯ドコモ、映像ストリーミングや遠隔PC操作などLTE端末のデモ
◯ドコモのLTEサービス「Xi」 高速通信デモ - CEATEC JAPAN 2010
◯YouTube - ドコモのLTEサービス「Xi」 高速通信デモ - CEATEC JAPAN 2010