前回までで説明した、「TCP/IPの基礎知識と各機器の動作を理解しておく」
と「ネットワーク構成を把握しておく」ことは、
事前にしっかり準備しておかなければいけないことでした。
今回説明する「近いところから範囲を広げていく」は、
まさに障害が発生したときに、如何に効率よく切り分けを
行っていくかという基本的な考え方になります。
闇雲に調査しても障害原因には、なかなかたどり着けません。
実際に障害が発生したときに、どのような手順で調査していけばよいのかは、
障害の状況により変わってきますが、
ここでは最も基本的な手順について解説します。
何事も基本は大事ですし、基本を押さえつつ、
自分なりに応用していくことも可能です。
例えばあなたの使用しているクライアントPCが
サーバにアクセス出来ない事象が発生した場合を例に
切り分けを行っていく手順を見ていきたいと思います。
さて、あなたならどのように調査していきますか?
このような場合、まず「どこまで通信可能なのか」を
特定することが大事です。
その際にはまずは「近いところ」から接続状態を確認していき、
徐々に調査する範囲を広げていく、という手法が非常に効率的です。
例として、以下のような構成で、クライアントPC1から
Webサーバへの接続を実施したとして、
以下のようなエラーが表示されてしまった場合の切り分けを
実施してみます。
まずクライアントPC自体に問題が無いことを確認するために、
クライアントPCのループバックアドレス(127.0.0.1)宛に
pingを実行してみます。
まずクライアントPCのTCP/IPモジュールの正常性を確認するためです。
ここでpingの応答が無い場合は、クライアントPCのTCP/IPモジュールの
異常が考えられますので、TCP/IPモジュールの再インストール等を
実施してみるという切り分けが考えられます。
続いて、クライアントPCに設定されているIPアドレスに対して
pingを実行してみます。
応答が無い場合は、ipconfigコマンドを使用してIPアドレスが
設定されているかどうかを確認してみましょう。
NICが認識されていないか、IPアドレスが設定されていないかもしれません。
あるいはそもそもケーブルが接続されていないかもしれません。
続いて同じハブやスイッチに接続されたクライアントPC等に
pingを実行してみます。
応答があれば、同一ネットワーク内のハブやケーブルに
問題がないことが確認出来ます。
もし応答が無い場合は、ケーブルの断線や接続状態、
スイッチやハブのハード不良などが考えられます。
スイッチやハブはポート単位で壊れる場合もありますので、
ハブやスイッチの接続ポートの変更なども切り分けの1つとして有効です。
続いて別のハブやスイッチに接続されたクライアントPC等にpingを
実行します。
応答がない場合はハブやスイッチ間の接続に問題があるかもしれません。
ハブやスイッチ同士をカスケード接続する場合は、
ストレートケーブルやクロスケーブルの接続間違いが原因で
通信出来ないなんてことは良くあります。
通常ハブには、「MDI(Medium Dependent Interface)ポート」と
「MDI-X(Medium Dependent Interface Crossover)ポート」の
2種類が存在します。
「MDIポート」は通常のポートとしてコンピュータ等と接続するポートで、
「MDI-Xポート」はカスケードポートまたはアップリンクポートと呼ばれ、
ハブ同士を接続する場合に使用するポートです。
ハブ同士をストレートケーブルで接続する場合は、
片側のハブはMDIポートに接続し、もう片側のハブはMDI-Xポートに
接続します。
MDI-Xポートが無いハブ同士を接続する場合は、クロスケーブルで
MDIポート同士を接続します。
ただし、最近のハブは、通信相手のポートがMDIかMDI-Xかを
自動判別して、適切な方法で接続してくれる機能(Auto MDI)が
搭載されていますので、あまり気にする必要はなくなってきました。
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