人的資源計画書作成プロセスは、プロジェクトにおける役割、責任、必要なスキル、上下関係等を特定して、文書化し、さらに要因マネジメント計画書の作成を行うプロセスです。
インプット
アクティビティ資源に対する要求事項
アクティビティ資源見積りのアウトプットで、要因に関するニーズを確定します。
組織体の環境要因
参考にする情報は以下のようなものがあります。
- 組織の文化や構造
- 既存の人的資源
- 人事管理方針
- 市場の状況
組織のプロセス資産
参考にする情報は以下のようなものがあります。
- 組織の標準プロセスと方針、標準化された職務分担規定
- 組織図と順位記述書のテンプレート
- 過去のプロジェクトに用いられた組織構造に関する情報
ツールと技法
組織図と順位記述書
チームメンバーの役割と責任を文書化する書式には、さまざまなものがあります。
階層型のチャート
トップダウン形式で職位とその関係を示すのに使用します。
マトリックス型のチャート
責任分担マトリックス(RAM)を使い、ワーク・パッケージやアクティビティとプロジェクトチームメンバーとの間の関係を図示するために使用します。
また、RAMの一種としてRACIチャートがよく使われます。
- R:Responsible
実行責任 - A:Accountable
説明責任 - C:Consult
相談対応 - I:Inform
情報提供
RACIチャートで重要な点は、役割と期待を明確に区分にすることです。
テキスト型のチャート
詳細な記述のためには、アウトライン形式がよく使われ、責任、権限、コンピテンシー、資格などを記入します。
プロジェクトマネジメント計画書のその他の該当部分
プロジェクトマネジメント計画書のその他の該当部分にも、以下の中にもプロジェクトをマネジメントする責任についての記載と説明があります。
- リスク登録簿
リスク・オーナー - コミュニケーション計画書
コミュニケーション活動を担当するチーム・メンバー - 品質計画書
品質保証や品質管理の実行責任者
ネットワーキング
ネットワーキングとは、組織、業界、専門分野の人たちと、公式あるいは非公式な交流を行うことです。要貝マネジメントとして取りうる様々な選択肢の効果に影響を及ぼす、政治的や人間関係的な要因を理解するうえで有効です。
組織論
組織論は、要員、チーム、部門などの行動様式に関する情報を提供します。
その情報を効果的に用いると、人的資源計画策定のアウトプットの生成に必要な時間、費用、労力などを削減して、計画が効果的なものになる可能性を高めるものになります。
ただし、組織構造が異なると、個人の反応、パフォーマンス、人間関係などが変わってくることに留意することが必要です。
アウトプット
人的資源計画書
役割と責任
役割と責任として、以下のようなものを記述します。
- 役割
個人が説明責任をもつ領域を表す肩書き - 権限
資源の投入、意思決定、承認などの権利 - 責任
個人が遂行することを期待されている業務 - コンピテンシー
アクティビティを完了するために必要なスキルと能力
プロジェクトの組織図
プロジェクトの組織図は、プロジェクト・チーム・メンバーとその上下関係を図示したものです。
要因マネジメント計画書
要因マネジメント計画書はプロジェクトマネジメント計画書に含まれる人的資源計画書の一部です。
要因マネジメント計画書は、他のマネジメント計画書とは異なり、プロジェクトマネジメント計画書の補助計画書ではないので注意してください。
要因マネジメント計画書は以下の内容を記述します。
- 要因調達
調達先、作業場所、コスト、機能部門からの支援などを記述 - 資源カレンダー
作業のための期間や調達アクテイビティの時期などを記述。人的資源を図表化するツールとして、資源ヒストグラムがよく使われます。
資源ヒストグラムは、月日など期間を横軸として、作業時間や要員数などを縦軸にしたヒストグラムです。
- 要因離任計画
責任を終えたチーム・メンバーが離任する場合の方法と時期を記述します。 - トレーニングのニーズ
必要なコンピテンシーについてのトレーニングや資格取得についての支援や計画を記述します。 - 表彰と報奨
表彰や報奨についての明確な基準と運用のための計画を記述します。 - 法令順守
政府規則や労働協約などを順守する運用に関して記述します。 - 安全
安全上の問題から保護する方針について記述します。要因マネジメント計画書とともに、リスク登録簿にも記載します。