Ciscoルータで使用しているOSを「IOS(Internetworking Operating System)」と呼びます。
最近はIOSの他にIOS-XEやIOS-XR、NX-OSといった数種類のOSがリリースされていますが、ここでは最も一般的なIOSについて解説していきます。
Windowsはマイクロソフトが開発しているように、IOSはCiscoが独自で開発したOSです。Windowsは万人が使用できるように、見た目もGUI(Graphical User Interface)で、マウスとキーボードで視覚的に操作できるのですが、ルータに視覚的な演出なんて必要ありません。
ルータに最も求められているのは、「24時間365日安定して動作すること」です。そのためルータはGUIのような凝ったものは使わずに、CLI(Command Line Interface)を使用します。
CLIとはキャラクタベースのコマンドを打ち込むことで機器の操作を行うインタフェースのことです。Windowsに搭載されているコマンドプロンプトがまさにCLIです。
下図は実際のCiscoルータを操作している画面です。
cisco#sh run
Building configuration...
Current configuration : 6360 bytes
!
! Last configuration change at 12:10:32 JST Mon Aug 14 2017 by nos
! NVRAM config last updated at 11:57:04 JST Wed Jul 19 2017 by nos
! NVRAM config last updated at 11:57:04 JST Wed Jul 19 2017 by nos
version 15.2
no service pad
service timestamps debug datetime msec localtime show-timezone
service timestamps log datetime msec localtime show-timezone
no service password-encryption
service compress-config
!
hostname cisco
!
boot-start-marker
boot-end-marker
!
!
no logging console
enable secret 5 xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
enable password q
!
aaa new-model
!
!
aaa authorization exec default local
!
!
設定を行う場合はもちろんのこと、ルータの情報を確認する場合もすべてコマンドで操作します。慣れればとても簡単なのですが、初めての人にとってはちょっと敷居が高いかもしれませんね。
WindowsにもXP、7、8、10と様々な種類があるように、IOSにもCiscoの種類や機能によって様々な種類が存在します。
IOSには使用したい機能によって、いくつかの種類が用意されています。
以下はその一例です。
各 Feature Set の関係は以下のようになっています。
IOS のFeature Set は階層構造になっていて、上位のFeature Set は下位のFeature Set の機能が使用可能となっています。
Feature Setごとの、利用出来る機能は以下の通りです。
IOS のバージョンとFeature Set が同じの場合、ルータの種類が違っても、使用できる機能は基本的に同じとなります。
Cisco IOS イメージの名称にも規則があります。
例えば「C1700-entbase-mz.123–11.T.bin」イメージの場合のそれぞれの意味は以下の通りです。
上記例の場合は、Cisco1700 シリーズルータのEnterprise パッケージでバージョンが 12.3(11)T Train のイメージということになります。Feature Set ごとのイメージ名は以下のようになります。
Cisco IOS のバージョン名は、「12.2(21)」とか「12.2(21)T2」といった表記方法です。それぞれの数字の意味は以下の通りです。
Cisco IOS には様々なリリースが存在していますが、もっとも基本的なリリースが、上記のように、12.2(21)とか 12.3(7a)とかで表される IOS で、「Mainline Train」と呼ばれるソフトウェアです。
Mainline Train は安定性と品質を重視していて、基本的に新機能の追加は行われません。不具合の修正を重ねるたびに、メンテナンスリリース番号が増えていきます。IOS では、Mainline Train から派生したリリースというものが存在します。たとえば、安定性よりも新機能を重視するようなものだったり、ハイエンドルータ向けのものだったり。
同じ IOS べージョンであってもトレインが違うものが存在する点が、分かりづらいポイントの 1 つとなっています。代表的なトレインを1つ紹介しましょう。
12.4(2)T3 とか 12.4(11)T1 など、メンテナンスリリース番号の後に「T」が付く IOS を「Technology Train(T Train)」と呼びます。T Train では、新機能やハードウェアサポートなどが追加されるため、Mainline Train と比べると安定性は落ちます。
表記の意味は以下の通りです。
Mainline Trainは新機能を盛り込まない安定重視版で、T Trainは新機能を盛り込んだ開発重視版という位置づけになります。
Mainline Train と T Train の関係を図にすると以下のようになります。
まず Mainline Train のバージョン 12.4 は、12.3T を基に開発がスタートされます。Mainline Train は新機能を追加することなく、バグ修正を実施するたびにメンテナンスリリースを重ねていきます。同時に 12.4T として新機能を盛り込んだ T Train にも、12.4 で修正されたコードは同期されていきます。
Mainline Train は最終的に GD(General Deployment)を目指して修正が行われます。GD とは、Cisco が定める安定基準を満たしていると認定したリリースのことで、安定バージョンであることを示しています。逆に GD に認定されていないリリースを、LD(Limited Deployment)と 呼びます。
T Train の方はというと、最終的に次期バージョンの 12.5 へと統合されていきます。
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