エンジニアに営業力は必要か?という議論は昔からありますが、個人的には顧客先に提案に行って、製品やサービスの受注を行うような、Sier/Nierといわれるフロント寄りのエンジニアであれば必要だし、逆に社内のインフラ設計構築やシステムの構築業務を主とするようなエンジニアであれば必ずしも必要はないと思っています。
今回は前者のSier/Nierに必要な営業的スキルについて書いてみたいと思います。SierやNierであっても、営業的考え方を持つことは案件を獲得するにはとても重要なファクターです。
いつかはエンジニアに必要な営業的スキルについて書いていきたいと思って、リアル業務を通じてメモを書きとめていたんですが、そろそろメモも溜まってきたのでまとめてみようと思います。
エンジニアが営業的スキルを身に着けるには、「そもそも営業とはどのような仕事か?」を考える必要があります。
「営業とは顧客に価値を提供し、その結果として対価を得る」
これが営業の本質です。ここで言っている「価値」とは、モノやサービスを指すのですが、「顧客に価値を感じてもらうためにはエンジニアとして何をすべきなのか?」を考えていかなければいけません。
言うのは簡単ですが、実際に「顧客が感じる価値」を提供することはとても大変です。過去に私も何度も同じような失敗を繰り返してきました。
「顧客に価値を提供する」こととはすなわち、「顧客の課題を解決し、その効果やメリットを提供する」ということです。
エンジニアとして、課題を解決する製品やソリューション、システムなどを検討し、それを顧客に分かりやすく説明し、顧客に買いたいと思ってもらえるような活動を行う。そのためのスキルがエンジニアに必要な営業的スキルだと思っています。つまり、ITと顧客を結びつける触媒となることがSierやNierの神髄ではないかと。
という案件発掘からクローズするまでの一連の活動をエンジニア視点で支援していくこともエンジニアの仕事です。
特に昨今は競合との差別化が難しくなり、価格勝負になりがちなので、顧客がどのように課題を理解し、課題に対してどのように判断し、対応していくのかを「顧客視点」で考えて実践していくことがとても重要になってきています。
顧客に価値を提供できる営業と提供できない営業の違いは、顧客の立場になりきれるかどうかの違いとも言い換えられます。
「現在のネットワーク設備が老朽化しているので新しいインフラに更改したい」
「現在のインフラは遅延があるので遅延の少ないインフラにしたい」
「ネットワーク上に流れるトラフィックには、社内システムの他にエンドユーザー向けの課金情報も流れている」
顧客からこのような要望を受けたとします。
このときに、単純に最新の大容量のネットワーク機器を提案するようなエンジニアは顧客に価値を提供できないエンジニアです。
一見すると「老朽化」と「遅延」という課題に対して、「最新の高パフォーマンスの機器」を提案しているので問題無さそうに思います。
しかしこれはあくまでも、顧客視点ではなくSier/Nier視点でしか見えていないダメなパターンです。
この場合、「なぜ遅延が発生しているのか?」「遅延が発生している個所やサービスは何か?」「社内システムの通信と課金情報の通信でサービス品質の違いはないのか?」などをヒアリングして、真のニーズを引き出す。そしてその真のニーズを満たす提案をすることが、顧客に価値を提供するエンジニアといえると思います。
顧客の課題を他人事として考えると自分事として考えるか。顧客からの要望だけを聞いて提案するのではなく、顧客が言っていないこともヒアリングして聞き出し、隠れたニーズを掘り出す。顧客と一緒に課題を考える姿勢がとても大事。
顧客に会う前には、必ず「準備しておくこと」と「心構え」を認識しておくことが重要です。ノープランでミーティングに挑むほどリスキーなことはありません。
初期段階での顧客とのミーティングは、課題を発掘することをゴールとします。顧客の課題を発掘して、解決したいと思わせる提案依頼を獲得すること。そのためにもミーティング前に顧客に関する様々な情報をもとに、課題となりそうなことを想定します。
システムが老朽化しているのであれば、現システムを運用し続けるとどのようなリスクがありそうか?リスクを回避するためにはどのような提案が刺さりそうか?
現状のシステムで顧客のビジネス拡大を妨げる要因となる箇所はないか?あるとしたらどのような機能追加をすればよいか?
課題を発掘したあとは、その課題に対する製品やサービスを提案することも大事ですが、それ以上に重要なのが「この会社、人たちは頼りになる」と思ってもらい、相談してもらえる関係に持っていくことです。
製品やサービスを提案して、すぐに採用してもらえることはほとんどありません。それよりも会社や提案内容に期待してもらい、「今後もこの人たちに相談したい」と思わせることが長期的にはとても重要です。そのためには、顧客が納得するようなプレゼンやコミュニケーション、技術スキルを見せていく必要があります。
ドリルを買う人は、ドリルが欲しいのではなく、ドリルであけた「穴」が欲しい。
顧客はSier/Nierが提案した課題解決方法が欲しいのではなく、課題を解決した結果生まれる効果が欲しいということ。だから、課題を解決した結果生まれる効果にはどのようなものがあるのかを、しっかりと提案していくことが重要です。
どれだけ自分が素晴らしいと思う提案をしても、顧客が気に入らなければ、それはつまらない無駄な提案でしかありません。営業とは「顧客に理解させて、判断させる」ことしかできません。最終的な判断は顧客がジャッジしますので、独りよがりな提案ではなく、顧客に理解してもらい、採用可否を判断してもらうような提案をすることが重要です。
顧客の立場にならなければいけないことは理解したが、どのように顧客視点を強化すればよいのでしょうか?
コトバで書くのは簡単ですが、実際に顧客の立場で物事を考えることはとても難しいことです。
そこで「顧客視点」をもう少し細分化して考えてみます。顧客の視点に立つには、顧客がどのような業務を行い、どのような悩みやモチベーションを持って仕事をしているのかを知らなければ顧客の立場に立つことはできません。
顧客が悩んでいることや考えていることはもちろん、その原因や背景まで理解しておく必要があります。
これらを知ったうえで、顧客のことを考える習慣をつけることです。フロントのSier/Nierは日々の業務とIT技術の学習と同じくらい、顧客のことを考えなければいけません。
もちろん考えるだけではなく、数多く顧客に会い、顧客を知る努力をしていく必要もあります。
営業の仕事は「顧客に提案内容を理解してもらい、採用可否を判断してもらう」ことが仕事です。そのためには顧客を知り、顧客の立場に立った提案を行わなければ採用されることはないでしょう。
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