「Cisco IOS のバージョン名って何か分かりづらくない?」
「12.2(21)があると思えば 12.2(21)T2 とかあったり」
「いったい何が何なのよっ?」
あるクライアント様と話をしていて、「Cisco の IOS の命名規則って
何なんすかねぇ、よく分からないっすよねぇ」と言われて、
まあ確かに分かりづらいよなぁと。
Cisco 特有とはいえ、この世界じゃデファクトな機器なわけで、
知りたいという方も多いようなので、数回に分けて書いてみようと思います。
Cisco IOS には様々なリリースが存在していますが、
もっとも基本的なリリースが、12.2(21)とか 12.3(7a)とかで表される IOS で、
「Mainline Train」と呼ばれるソフトウェアです。
表記の意味は以下の通りです。
Mainline Train は安定性と品質を重視していて、
基本的に新機能の追加は行われません。
不具合の修正を重ねるたびに、メンテナンスリリース番号が
増えていきます。
IOS では、Mainline Train から派生したリリースというものが存在します。
たとえば、安定性よりも新機能を重視するようなものだったり、
ハイエンドルータ向けのものだったり。
同じ IOS べージョンであってもトレインが違うものが存在する点が、
分かりづらいポイントの 1 つとなっています。
代表的なトレインをいくつか紹介しましょう。
12.4(2)T3 とか 12.4(11)T1 など、メンテナンスリリース番号の後に
「T」が付く IOS を「Technology Train(T Train)」と呼びます。
T Train では、新機能やハードウェアサポートなどが
追加されるため、Mainline Train と比べると安定性は落ちます。
表記の意味は以下の通りです。
以上のように、Mainline Trainは新機能を盛り込まない安定重視版で、
T Trainは新機能を盛り込んだ開発重視版という位置づけになります。
Mainline Train と T Train の関係を図にすると以下のようになります。
まず Mainline Train のバージョン 12.4 は、12.3T を基に
開発がスタートされます。
Mainline Train は新機能を追加することなく、バグ修正を
実施するたびにメンテナンスリリースを重ねていきます。
同時に 12.4T として新機能を盛り込んだ T Train にも、
12.4 で修正されたコードは同期されていきます。
Mainline Train は最終的に GD(General Deployment)を目指して
修正が行われます。
GD とは、Cisco が定める安定基準を満たしていると認定した
リリースのことで、安定バージョンであることを示しています。
逆に GD に認定されていないリリースを、LD(Limited Deployment)と 呼びます。
T Train の方はというと、最終的に次期バージョンの 12.5 へと
統合されていきます。
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