スパニングツリー -ルートブリッジの選択基準-


スパニングツリー:ルートブリッジの選択基準

前回でルートブリッジの役割を説明しました。

ではこのルートブリッジってどうやって決められるのでしょうか?
スパニングツリープロトコルではBPDU(Bridge Protocol Data Units)といわれるデータをやりとりしているということも前回説明しました。
このBPDUのやりとりをすることでルートブリッジを決めたり指定ポートやルートポートを決定します。 ちなみにBPDUの送信間隔はCisco機器だとデフォルトが2秒となっています。 このBPDUパケットの中のブリッジIDフィールドの値が一番小さいブリッジ(スイッチ)がルートブリッジになります。

ブリッジIDは2バイトのプライオリティと6バイトのMACアドレスから成っています。
プライオリティは100、MACアドレスが12-34-56-78-9aだったとするとブリッジIDは100123456789aとなります。
つまりネットワーク内の全てのブリッジが同じプライオリティだったとすると、MACアドレスの一番小さいブリッジがルートブリッジになるのです。

 

スパニングツリー:パスコストって?

前回の説明の中でルートポートを選択する際には“各スイッチからルートブリッジへ最も近いポート ”が条件ですと説明しました。
この最も近いポートを決める値をパスコストといいます。
この値は一般的に小さい方が優先され、ルートブリッジまでの帯域幅から値が算出されます。
仮に以下のようにパスコストが決められたブリッジの場合・・・

構成が下記の様な構成の場合

SW-A ~ SW-B ~ SW-Dのパスコストは"119"
SW-A ~ SW-C ~ SW-Dのパスコストは"200"

となりSW-A ~ SW-B ~ SW-Dを経由する通信の方がパスコストが小さくなるためSW-DはSW-B向けのポートをルートポートにします。

ではもし仮にパスコストが同じ経路が2経路あったとしたらどうなるでしょう?

この場合パスコストが同じなので2つのポートをルートポートにしてしまうと当然ループ構成になってしまいとんでもないことになります。

ですので何らかの方法によってルートポートを選択しないといけません。

ルートポートの選択は以下の順番で行われます。

  1. パスコストが最小のポート
  2. パスコストが同じ場合は、上位スイッチのブリッジIDが小さいポート


つまりパスコストが同じ場合は、上位スイッチのブリッジIDが小さいポートがルートポートに選ばれます。

パスコスト

 

上記例ですとブリッジIDが小さいSW-B向けのポートがルートポートとなりSW-C向けのポートがブロッキングポートになります。

 

ブリッジIDも同じ場合は?

以下の構成の場合はどうなるでしょうか?

パスコスト

 

ルートポートの選択は以下の順番で行われます。

  1. パスコストが最小のポート
  2. パスコストが同じ場合は、上位スイッチのブリッジIDが小さいポート

しかし、この場合パスコストも上位スイッチのブリッジIDも同じです。

その場合は、上位ブリッジ(スイッチ)のポートで最小のポート番号(ポートID)に接続されている下位ブリッジ(スイッチ)のポートがルートポートに選ばれます。

パスコスト

スパニングツリー:ルートブリッジ最適経路の選択

ルートブリッジが選択されると、ルートブリッジを中心に書くポートの役割が決まっていきます。
スパニングツリーのポートの名称には以下のようなものがあります。

  • 指定ポート(Designated Port):各セグメントからルートブリッジへ最も近いポート
  • ルートポート(Root Port):各スイッチからルートブリッジへ最も近いポート
  • ブロッキングポート(Blocking Port)

最初にルートブリッジに直接接続されている2つのセグメントについて考えてみます。 まずルートブリッジのポートですが、これは全てのポートが指定ポート(Designated Port)になります。

続いて各スイッチからルートブリッジに一番近いポート(直接接続されているポート)がルートポート(Root Port)になります

となります。

次にルートブリッジが直接接続されていないセグメントで考えてみます。
まず指定ポートですが“各セグメントからルートブリッジへ最も近いポート”が指定ポートになります。
下記構成でSW-BとSW-D間とSW-CとSW-D間のそれぞれのセグメントにおいてルートブリッジに最も近いポートが指定ポートになるので、

となります。

続いてルートポートですが“各スイッチからルートブリッジへ最も近いポート”が条件ですが、この最も近いポートは何を基準に選択するのでしょうか?
一般的に最も近いポートを選択する基準は帯域幅によって選択されます
仮にSW-A~SW-B間の帯域幅が100MbpsでSW-A~SW-C間の帯域幅が10Mbpsだった場合、帯域幅の大きいSW-A~SW-B間を通過する経路が選択されます。 よってSW-DのSW-B向けポートがルートポートとなります。

そして最後に残ったポートであるSW-DのSW-C向けポートがブロッキングポートとなります。

このような動作を全てのスイッチが行うことによりようやくこのネットワークは収束(コンバージェンス)したことになります。
この一連の動作をスパニングツリーアルゴリズム(SPA)と呼びます。 このSPAの計算は当然ネットワーク内のスイッチが増えれば増えるほど大変になります。 また、ネットワーク構成や機器によってブロッキングポートをどこに指定していするか、そのためにはルートブリッジをどの機器にするかといった設計が重要になってきます。

以上がスパニングツリーの動作になります。

 

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