前回までの説明で、どのようにルートブリッジを選択しどのポートが指定ポート、ルートポート、ブロッキングポートになるのか分かっていただけたと思います。
しかしスパニングツリープロトコルにはもう一つ知っておかなければいけない重要な動作があります。
例えばあなたが新しくネットワークを構築する担当者だったとして、スイッチを複数使用して以下の様な冗長構成を組んだとしましょう。
物理的なケーブルの接続を終えたあなたは颯爽とスイッチの電源を入れるでしょう。
正常に立ち上がると各スイッチは当然リンクアップしますねぇ。ハイ。
ここでスパニングツリーが有効になっていたら スパニングツリーアルゴリズム(Spanning-tree algorithm) が動作し、ループフリーな構成にするべく計算を始めます。
ここでもしスパニングツリーアルゴリズムが動作中(収束する前)にデータの転送が出来たらどうなるでしょう?
当然物理的にループ構成なのであっという間にループ障害。
そしてあなたの脳裏にはドナドナが鳴り響く・・・
ある晴れた 昼さがり 市場へ 続く道
荷馬車が ゴトゴト 子牛を 乗せてゆく・・・( ああ無情 )
そこで スパニングツリーでは4段階の状態遷移を行うことでループを防いでいます。
スパニングツリーの動作は以下の4つの状態を経て始めて収束します。
まず最初にスイッチ(ブリッジ)に電源を入れると初期状態であるブロッキング(Blocking)という状態になります。
ブロッキング(Blocking)のポートはその名の通り データの送受信はいっさい出来ませんしMACアドレスの学習も行いません。
ただし 例外としてBPDU(Bridge Protocol Data Units)の受信のみ許可します。
ブロッキング(Blocking)状態はデフォルトで 20秒経過するかBPDU(Bridge Protocol Data Units)を受信するとリスニング(Listening)状態へ移行 します。
この20秒のタイマをを 最大エージタイマ といいます。
リスニング(Listening)状態へ移行したポートはBPDU(Bridge Protocol Data Units)の送受信が許可されます。
ただしまだデータの送受信は出来ませんしMACアドレスの学習も行いません。
この状態ではBPDU(Bridge Protocol Data Units)の交換のみを行い、ルートブリッジの選択や最適経路の選択を行います。
ルートブリッジが選択されるまではそれぞれのスイッチ(ブリッジ)がルートブリッジだと思いこんでいるのですが、ルートブリッジが選出されるBPDU(Bridge Protocol Data Units)の流れはルートブリッジを中心に行われます。 ルートブリッジがBPDU(Bridge Protocol Data Units)を生成し、その他のスイッチ(ブリッジ)が転送します。
当然1つのネットワーク内でスイッチ(ブリッジ)の台数が多い場合はルートブリッジが送出したBPDU(Bridge Protocol Data Units)が末端のスイッチ(ブリッジ)まで届くのに時間がかかってしまいます。 そのためルートブリッジから末端のスイッチ(ブリッジ)までは最大で7段までとなっています。
リスニング(Listening)状態のままデフォルトで15秒待ってからラーニング(Larning)状態へ移行します。 この15秒間のタイマを転送遅延タイマといいます。
ラーニング(Larning)状態へ移行したポートは、ここでようやくMACアドレスの学習を許可されます。 ただしまだデータの送受信は出来ません。
ラーニング(Larning)状態のままデフォルトで15秒待ってフォワーディング(Fowarding)へ移行します。
フォワーディング(Fowarding)状態になってようやくデータの送受信が可能になります。
経路の切り替わりあるいは電源を入れてからフォワーディング(Fowarding)状態、つまりデータの送受信が可能になるまでデフォルトで最大50秒間通信が出来ない状態になります。
デフォルトのタイマ値をカスタマイズすることによって多少は速くすることは可能ですがそれでも限界があります。
そこで新たにIEEE802.1wとして規格されたのがラピッドスパニングツリープロトコル(RSTP:Rapid Spanning Tree Protocol) です。 RSTPを使用すれば切り替わりの通信断の時 間が大幅に縮小され最大でも5秒以内で切り替わることが可能です。
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