前回ネットマスクを使ってネットワークアドレスとホストアドレスを
分ける方法を紹介しました。
サブネットワークを利用すると、アドレスクラスごとのホストアドレスの範
囲をさらに細かく分割することができます。
そのためIPアドレスの無駄が無くなるわけですね。
このサブネットワークを理解するために必須の知識が“ネットマスク”とい
うことも説明しましたね。
それでは今回は実際にネットマスクを使ったサブネットワークについて解説
していきましょう。
ネットマスクはIPアドレスと同じように、32ビットで表される情報で、“1”
で表される部分がネットワークアドレスを、“0”で表される部分がホスト
アドレスを意味しますよね。
サブネットワークはクラスごとに決められているホストアドレスの範囲の一
部をネットワークアドレスとして使用することにより、ネットワークアドレ
スとホストアドレスの範囲を細かく設定します。
例えば、クラスCのIPアドレス192.168.1.1に対して、アドレスクラスの概念だと、
“IP Address. . . . . . . . . . . . : 192.168.1.100”
“Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.255.0”
2進数に変換すると、
“IP Address : 11000000.10101000.00000001.01100100”
“Subnet Mask : 11111111.11111111.11111111.00000000”
となりネットワークアドレスは192.168.1.0となります。
では、サブネットワークを使用した場合どうなるかといいますと、
ネットマスクを拡張して以下のようにした場合、
“IP Address. . . . . . . . . . . . : 192.168.1.100”
“Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.255.240”
2進数に変換すると、
“IP Address : 11000000.10101000.00000001.01100100”
“Subnet Mask : 11111111.11111111.11111111.11110000”
となりますね。
この場合のネットワークアドレスはAND演算すると、
“IP Address : 11000000.10101000.00000001.01100100”
“Subnet Mask : 11111111.11111111.11111111.11110000”
──────────────────────────
11000000.10101000.00000001.01100000
となるので192.168.1.96になります。
ホストアドレスは、“ネットマスクの逆数”をAND演算しますので、
“IP Address : 11000000.10101000.00000001.01100100”
“Subnet Mask : 00000000.00000000.00000000.00001111”
──────────────────────────
00000000.00000000.00000000.00000100
つまり、0.0.0.4がホストアドレスになります。
このときの最大のホスト数は
2^4 - 2 = 14
となりますね。10台以下のホストしかないような端末であれば十分ですね。
この拡張したビット部分、(今回の例ですと第4オクテットの上位4ビット
部分)のことを、サブネットアドレスと呼びます。
さてここまで、サブネットワークについて解説してきましたが、どうもピンと
こないなんて方も多いのではないでしょうか?
やっぱり理解するには実際にIPアドレスの割り振りを設計してみるのが手っ
取り早いですね。
そこで例題を元に実際に割り当てを考えてみましょう。
○例題
有限会社ITBOOKSがこのたび上場することになり、株式会社ITBOOKSとして
都心の一等地のビルに移転することが決まった。
ビルの移転に伴い、社内ネットワークのIPアドレスを見直すことになり、
新たに新設された3つの部署にはクラスCのアドレス「192.168.1.0」を分
割して、3つのネットワークアドレスにして使用することとした。
3つの部署のそれぞれの端末台数は以下の通り。
・経理部:100台
・総務部:50台
・営業部:20台
さて、3つの部署に効率よくIPアドレスを割り当てるにはどうすればよい
でしょうか?
●経理部のIPアドレス
経理部は端末が100台です。
つまり、100個のホストアドレスがあればいいわけですね。
第4オクテットのホストアドレス部分の内、1ビットを拡張してみましょう。
“IP Address : 11000000.10101000.00000001.00000000”(192.168.1.0)
“Subnet Mask : 11111111.11111111.11111111.10000000”(255.255.255.128)
この場合の最大ホスト数は
2^7 - 2 = 126個
となります。
ちなみにIPアドレスの範囲は、192.168.1.1 ~ 192.168.1.126です。
仮にもう1ビット拡張したとすると、
2^6 - 2 = 62個
となり足らなくなってしまいます。
ということで経理部は
ネットワークアドレス:192.168.1.0
サブネットマスク :255.255.255.128
としましょう。
●総務部のIPアドレス
総務部の端末は50台です。
経理部ですでに、192.168.1.0 ~ 192.168.1.127までを確保していますので、
それ以降のアドレス(192.168.1.128以降)を使用しないといけません。
経理部で指定したサブネットマスクからさらにもう1ビット拡張してみま
しょう。
“IP Address : 11000000.10101000.00000001.10000000”(192.168.1.128)
“Subnet Mask : 11111111.11111111.11111111.11000000”(255.255.255.192)
この場合の最大ホスト数は
2^6 - 2 = 62個
となります。
ちなみにIPアドレスの範囲は、192.168.1.129 ~ 192.168.1.190です。
仮にもう1ビット拡張したとすると、
2^5 - 2 = 30個
となり足らなくなってしまいます。
ということで総務部は
ネットワークアドレス:192.168.1.128
サブネットマスク :255.255.255.192
としましょう。
●営業部のIPアドレス
営業部の端末は20台です。
経理部、総務部ですでに、192.168.1.0 ~ 192.168.1.191までを確保してい
ますので、それ以降のアドレス(192.168.1.192以降)を使用しないといけ
ません。
総務部で指定したサブネットマスクからさらにもう1ビット拡張してみま
しょう。
“IP Address : 11000000.10101000.00000001.11000000”(192.168.1.192)
“Subnet Mask : 11111111.11111111.11111111.11100000”(255.255.255.224)
この場合の最大ホスト数は
2^5 - 2 = 30個
となります。
ちなみにIPアドレスの範囲は、192.168.1.193 ~ 192.168.1.222です。
仮にもう1ビット拡張したとすると、
2^4 - 2 = 14個
となり足らなくなってしまいます。
ということで営業部は
ネットワークアドレス:192.168.1.192
サブネットマスク :255.255.255.224
としましょう。
以上で3つの部署のアドレスを192.168.1.0のアドレス範囲の中で、すべて割
り振ることができました。
まとめますと、
経理部:192.168.1.1 ~ 192.168.1.126
総務部:192.168.1.129 ~ 192.168.1.190
営業部:192.168.1.193 ~ 192.168.1.222
残り :192.168.1.225 ~ 192.168.1.254
となります。
ちょっと分かりにくいサブネットワークという概念ですが、理解できました
でしょうか?
サブネットアドレスはホストアドレス部分の上位ビットをサブネットアドレ
スとして扱うことで使用します。
このサブネットワークをうまく活用することで、ネットワークの構成に応じ
て効率の良いネットワーク設計が可能になるわけです。
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