自分の魂に立ち向かうとき


ちょっと前のことですが、あまりにも衝撃的な事で今でも頭から離れない
出来事をここでお話ししよう。

ある昼下がり、客先に向かうため電車に乗って読書なんぞをしていたので
す。

余裕を持って外出したので、「こりゃ早く着きすぎるかな?でもまあ近く
のスタバで時間をつぶせばいいかなぁ」なんてのんびりと読書を楽しんで
いたその時、

 ドッカーン!!

という、電車内の中ではあまりにも似つかわしくない鈍い音が響き渡りま
した。

その音に驚いてふと辺りを見回すと、若いサラリーマンが電車のドアに挟
まれているではないかっ!!
挟まれていると言っても体ではなく何やら大きな箱のようなものが挟まっ
てる。
どうやらこの電車に乗りたくて、ドアが閉まる瞬間その箱をつっかえ棒代わ
りに突きだしたようである。

その若いサラリーマンは何とかしてドアをこじ開けようと、その「箱のよ
うなもの」を「ぐりぐり」と動かしている。

「おいおい無茶するなぁ」
「あきらめて次の電車にしろよ~」

と車内の人たちは明らかな嫌悪感を抱いていたはずである。

やがて駅員さんも諦めたらしく、ドアが静かに開いてその若者はするりと
車内に入ってきた。

若者は見るからに急いでやってきたらしく、「ハァハァ」を通り越して
「ゼヒィゼヒィ」と今にも口からなんか出てきそうな勢いである。
顔を見ると汗びっしょり。

「うっわぁ~、相当急いでるんだねぇ」なんて思いながら彼が先ほどつっ
かえ棒にしていた「箱のようなもの」をしげしげと見てみると…

なぁ~んとそれは、裸のCatalyst3550ではないですかっ!!

そうです、彼が両手で抱えていたのは、Ciscoが誇る高性能レイヤ3スイッ
チのCatalyst3550だったのですよ。
しかも裸で!!

しかもその1台数十万もするようなものをつっかえ棒にしていたのですよ、
この若者は!!

電車に乗ってもその若者は時間をしきりに気にしながら、どこかに電話を
しているようである。

「すいません!!今電車に乗りましたので、30分もあれば着きますから。」
「ええ大丈夫です!!すぐにお持ちしますから!!」
「ご迷惑おかけして申し訳ありません!!」

何やらお客様に電話をしているらしく、しきりに恐縮している。

推測するに、お客様のネットワークで使用しているCatalyst3550が故障し
て、急いで代替品を運ぶ最中なのか。
あるいは何かの手違いでCatalyst3550が急遽必要になったのか。
おそらくそんなところなのでしょう。

とにかく彼はどんな手を使ってでも、急いでCatalyst3550を運ぶという使
命を課せられたようである。

その使命のために彼は裸のCatalyst3550をつっかえ棒にしていたわけです
ねぇ、うんうん…ってそれで壊れちゃったらどうするんでしょう!?

      @        @        @

せっぱつまっている時はどうしても周りが見えなくなって、そのことだけ
しか考えられなくなります。
彼もとにかく「早く着く」ということだけしか頭に無かったわけですね。

人はトラブルなどに遭遇して、どうしようもならなくなってせっぱつまっ
ちゃった瞬間、その瞬間にこそウソのない本当の自分が現れるのでしょう。

つまりそんな自分の魂に立ち向かっている時にどう行動すれば良いのかっ
てのが大事なんだななんて思います。

 ▼今回つっかえ棒にしちゃったのはコレ

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