ルーティング・BGP -BGPの接続形態-


eBGPマルチホップ

2台の直接接続されていない外部ピア同士でピアを確立させるためには、eBGPマルチホップという機能を使用します。

eBGPマルチホップを行う場合はピアを確立するルータのネットワークへのネットワーク到達可能性が確保されていなければいけません。そのため、あらかじめIGPやスタティックルートなどで経路を確保しておきましょう。

 

BGPの接続形態

ASが他ASと接続する場合いくつかの接続形態があります。

(1)シングルホームとマルチホーム

シングルホーム:外部との接続が1つしかないAS
マルチホーム:外部との接続が2つ以上あるAS
インターネット・フルルート:インターネットに接続したBGPルータは、接続プロバイダよりインターネット上のすべての経路情報を受け取ります。これを「フルルート」といいます。各AS(Autonomous System)はフルルートを受け取り、自ASのローカル経路のアナウンスを行うことで、インターネットと相互に通信できる状態となります。

シングルホームの場合、接続先ASの一部(ローカルAS)と見ることもできるため、グローバルなAS番号やIPアドレスを付与する必要はなくプライベートなASとIPアドレスで運用することも可能。

(2)トランジットと非トランジット

トランジット:接続先から受信したルーティングテーブルを他のASにアドバタイズし、自ASを経由した通信を可能にするASをトランジットASという。
非トランジット:接続先から受信したルーティングテーブルを他のASにアドバダイスせず、自ASのローカルルーティングテーブルのみをアドバタイズするASを非トランジットASという。

 

BGP:ルーティングの動作

BGPはKeepaliveパケットを60 秒ごとに送信します。(RFC1771では30秒が推奨値。)

Keepaliveパケット送信間隔はtimers bgp コマンドで変更可能。
待機時間(HoldTime)は通常は Keepalive Intervalの 3 倍で、デフォルトでは 180 秒(RFC1771では90秒が推奨値)。

timers bgp <Keepalive interval> <Holdtime>

BGPを実行するデバイスのことをBGPスピーカーといい、BGPスピーカーと情報交換を行う相手ルータをネイバー(Neighbor)ピア(Peer)と呼ぶ。
BGPネイバーの確立は、OSPFのように相手ルータを自動で発見してピアを張るのではなく、手動で指定することにより相手ルータとピアを張ることが出来る。

(1)BGPピアの確立フロー

①相手のルータ同士でTCP(Port179)のコネクションを張ります。どちらのルータから始めてもかまいません。TCPですから当然スリーウエイハンドシェイクを行います。

②TCPコネクションが確立されると、ルータは互いにBGPの基本情報(自AS番号、ルータID、BGPVersionなど)を交換します。この基本情報をOPENメッセージと呼びます。この時点でBGPのセッションが確立されますが、基本情報の内容が正しくなかった場合はTCPセッションは切断されます。

③BGPセッションが確立されると、ルータは自分が知っている全てのRoutingTableを交換します。このRoutingTableの交換をUpdateメッセージと呼びます。

④その後は互いにKeepaliveメッセージを送り、相手ルータの生存確認を行います。ここで一定時間(Holdtime)内に相手ルータからのKeepaliveメッセージを受信出来なかった場合は、BGPセッションを切断します。

実際はBGPピアが確立されるまでにいくつかの段階を経て最終的にピアが確立されます。詳細については BGP -BGP状態遷移-で説明します。

 

(2)差分Update

BGPは相手ルータとBGPピアが張られたときに、一度だけ自分が知っている全てのRoutingTabelを交換します。その後は経路情報が追加または削除された場合、その追加情報、削除情報のみが相手ルータにUpdateされます。

 

BGP:メッセージ

BGPで交換されるメッセージは5種類ある。

タイプ 名称 説明
1 OPEN BGPセッション開始時に交換されるメッセージ。自AS番号、ルータID、BGPVersionなどの情報が含まれます。
2 UPDATE BGPの経路情報の交換に使用されるメッセージ。経路の追加や削除が発生した場合に送信される。
3 NOTIFICATION BGPセッションの切断やエラーを検知した場合に送信されるメッセージ。
4 KEEPALIVE 生存確認を行うときに交換されるメッセージ。Ciscoでは通常60秒おきに定期的に送信されます。OSPFのHelloとは動作が違い、相手ルータがKeepaliveを受信したからといってそれに応答することはありません。
5 ROUTE-REFRESH 相手ルータに対し全ての経路情報を要求するメッセージ。

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