12.2 調達実行
調達実行は、納入候補から回答を得て、納入者を選定し、契約を締結するプロセスです。
調達実行プロセスでは、応札書やプロポーザルを受け取った後、事前に定義した選定基準を適用して、作業を実施する資格を有する適格な納入者を単一または複数選定します。
インプット
プロジェクトマネジメント計画書
プロジェクトマネジメント計画書の補助計画書である、調達マネジメント計画書を参照します。
調達マネジメント計画書は、12.1 調達計画のアウトプットです。
調達文書
調達文書は、12.1 調達計画のアウトプットです。
発注先選定基準
発注先選定基準は、12.1 調達計画のアウトプットです。
適格納入者リスト
想定される契約を実行できる納入者のみを対象に調達を行えるように、資格か過去の経験をもとに事前のスクリーニングを通過した納入者の一覧表を参照します。
プロジェクト文書
以下の内容を参照します。
- リスク登録簿
- リスク関連の契約決定事項
内外製決定
内外製決定は、12.1 調達計画のアウトプットです。
協業契約
プロジェクトの要求事項を満たす調達作業範囲記述書を共同で作成し、双方が最終的な契約の交渉を行います。
組織のプロセス資産
以下の内容を参照します。
- 納入候補および、すでに適格と認定された納入者のリスト
- 納入者の過去の業務経験に関する情報(良いものも悪いものも含む)
ツールと技法
入札説明会
入札説明会は、入札やプロポーザル提出に先立ってすべての納入候補を対象に行われる会議です。公平を期すために、すべての納入候補が公平になるようには配慮する必要があります。
プロポーザル評価法
納入者からの回答をもとに、事前に準備した重み付けのある基準によって、納入者を選定します。
納入者を決定する前には、評価委員会が選定を行い、マネジメントに承認を求めます。
独自見積り
納入候補から提示された回答に対するベンチマークとして使うために、調達組織が作成したり、外部に委託したりして作成します。納入者のコスト見積りと大きな差がある場合は、作業範囲記述書が不適切、不明確なのか、納入候補が誤解しているのか、十分に対応していない可能性があります。
独自見積もりは査定見積りとも呼ばれます。
専門家の判断
専門家の判断は、プロポーザルを評価する際に利用します。調達文書と契約対象の該当する分野における専門能力をもつ多分野の専門家が担当します。このチームには、法務、契約、財務、会計、エンジニアリング、設計などの各機能部門の専門家が含まれます。
入札公告
選定した新聞や専門の業界誌などに公告を掲載します。一部の政府機関では、ある種の公告を必要とする規定があります。
インターネット検索
インターネットは、組織におけるほとんどのプロジェクト調達およびサプライ・チェーン調達に大きな影響力があります。
調達交渉
契約交渉によって、契約書の構成、要求事項および他の購入条件が明確になり、契約締結に先立って双方の合意が得られます。
注意する点として、プロジェクト・マネジャーは調達に関する主たる折衝者にはなりません。プロジェクト・マネジャーは交渉の助言や技術・品質・マネジメント上の要求事項を明確にするために交渉に参加します。
契約に含める事項には以下のようなものがあります。
- 責任
- 変更権限
- 適用する契約条件と準拠法規
- 技術的方法
- 取引をマネジメントする方法
- 所有権
- 契約にともなう資金調達
- 技術的な決定事項
- 全体スケジュール
- 支払い方法
- 価格
アウトプット
選定納入者
プロポーザルの完成度や入札評価の結果を基に、競争力があると判断されたグループの納入候補のことで、契約締結時には本契約となる契約書のドラフト版の交渉を行った納入者です。
調達契約締結
調達契約は、選定した納入者ごとに締結します。契約文書の主な構成要素は以下のようなものがあります。
- 作業範囲記述書または要素成果物記述書
- スケジュール・ベースライン
- 実績報告
- 実施期間
- 役割と責任
- 納入者の作業場所
- 価格
- 支払い条件
- 引き渡し場所
- 検査と受入基準
- 保証
- 製品サポート
資源カレンダー
契約対象の資源の量とその可用性、および個々の資源の稼働日や非稼働日を文書化します。
変更要求
プロジェクトマネジメント計画書に対する変更要求は、統合変更管理プロセスにおいてレビューし、処置されます。
プロジェクトマネジメント計画書更新版
以下の内容が更新されます。
- コスト・ベースライン
- スコープ・ベースライン
- スケジュール・ベースライン
- 調達マネジメント計画書
プロジェクト文書更新版
以下の内容が更新されます。
- 要求事項文書
- 要求事項トレーサビリティ文書
- リスク登録簿