プロジェクト・スコープ・マネジメントは、「プロジェクトを成功のうちに完了するために必要なすべての作業を含め、かつ必要な作業のみを含めることを確実にするために必要なプロセスからなる」と定義されています。
プロジェクト・スコープ・マネジメントを実施することで、作業をモレなくダブリなく実施することができるわけですね。
プロジェクト・スコープに変更や追加が発生がもたらすリスク
プロジェクト・スコープに変更や追加が発生してしまうと、当然プロジェクトは混乱してしまいます。
理由はある部分の変更がプロジェクト全体に影響してしまうことが少なくないため。
また、変更が追加作業が発生すると、コスト超過や納期遅れのリスクも発生してしまいますし、予期せぬ問題が発生してしまうリスクもあります。
以上のことから、プロジェクト・スコープの変更は出来るだけ避けるべきなのですが、実際は変更や追加が発生してしまいます。
そういう意味では、出来る限りスコープの変更や追加が発生しないようにプロジェクトをマネジメントすることは、プロジェクトマネジャーの腕の見せ所とも言えます。
プロジェクト・スコープに変更や追加を減らすコツ
プロジェクト・スコープに変更や追加を出来る限り減らすためのコツをいくつか紹介しておきます。
- 事前の要求事項の確認とスコープ・ベースラインを確実に行う
後述する、要求事項の確認とスコープ・ベースラインの実施を確実に行います。
あいまいな部分があれば、必ず明確化し、さらに文書化しておくことが重要です。 - スコープ変更を簡単に受け付けない
スコープの変更や追加は、コストや品質、時間などに大きく影響してしまいます。
そのため、簡単に受けることはせず、ステークホルダーにも影響の大きさについて理解してもらうように努めましょう。 - スコープ変更は、手順に沿って実施する
事前にスコープの変更管理システムを立ち上げ、必ず変更の影響を調査し、場合によっては却下できるシステムを確立しておきましょう。
プロジェクト・スコープ・マネジメントは、計画プロセス群と監視・コントロール・プロセス群の2つのプロセス群に、以下の5つのプロセスから構成されています。
計画プロセス群
- 要求事項収集
- スコープ定義
- WBS作成
監視・コントロール・プロセス群
- スコープ検証
- スコープ・コントロール
スコープ
スコープとは、「プロジェクトにて提供するプロダクト、サービス、所産の総体」のことで、プロジェクトのすべての成果物と同じ意味ととらえてください。
スコープは、以下の2つに分類されます。
- 成果物スコープ
- プロジェクト・スコープ
成果物スコープは、プロダクト、サービス、所産が持つ特有の特性や機能のことで、プロジェクトにおいてどのような成果物を作成すればよいかを定義したもの。
成果物スコープの完了は、要求事項収集プロセスで定義する成果物要求事項を基に判断します。
プロジェクト・スコープは、規定された特性や機能をもつプロダクト、サービス、所産等を生み出すために実行しなければいけない作業のこと。
プロジェクト・スコープは、成果物スコープを元に作成されます。
プロジェクト・スコープの完了は、プロジェクトマネジメント計画書を基に判断します。
スコープ・ベースライン
スコープ・ベースラインは、プロジェクト・スコープ記述書、WBS、WBS辞書の3つから構成されます。
要求事項収集、スコープ定義、WBS作成の3つのプロセスを実行することで作成されます。
ベースラインとして定められたこのスコープは、プロジェクトのライフサイクルを通じて、監視、検証、コントロールの対象となります。
※スコープ・マネジメント計画書は、プロジェクト・スコープ・マネジメントを実施するためのガイドラインとなるため、プロジェクト・スコープ・マネジメントの5つのプロセスを実施する前に作成しますので注意しましょう。
スコープ・マネジメント計画書は、プロジェクト統合マネジメントの「4.2 プロジェクトマネジメント計画書作成」プロセスで作成されます。