プロジェクト・チーム育成は、プロジェクトのパフォーマンスを高めるために、コンピテンシーを強化し、チーム内の交流を促進し、チーム環境を改善させるプロセスです。
プロジェクト・マネジャーに必要なスキルや活動には以下のようなものがあります。
- プロジェクト・チームを特定し、形成し、維持し、動機付けし、リードし、奮起させる
- チームワークを促進する環境を作る
- オープンで効果的なコミュニケーションの推進
- コンフリクトのマネジメント
- 協力的な問題解決と意思決定
チーム・メンバーは多様な業種の経験があり、複数の言語を話す環境で仕事を進めることもあります。プロジェクトマネジメント・チームは、文化的な違いを活かして、プロジェクト・ライフサイクルを通してプロジェクト・チームの育成と維持を行うことに集中して、相互に信頼できる環境の中でお互いに協力しあえる環境を作る必要があります。
プロジェクト・チームを育成する目標として以下のようなものがあります。
- コストを抑えて、スケジュールを短縮し、品質を向上させながら、プロジェクト要素成果物を完成させる能力を高めるために、チーム・メンバーの知識とスキルを向上させる
- 士気を高め、コンフリクトを抑え、チームワークを向上させるために、チーム・メンバー間の信頼と合意の意識を改善する
- 個人とチーム両方の生産性、チームの団結心、協力関係等を改善し、一般知識や専門知識の共有を目的としてチーム・メンバー間における相互のトレーニングやメンタリングを行えるようにするために、ダイナミックかつ結束したチーム文化を作り出す
インプット
プロジェクト要員任命
9.2 プロジェクト・チーム編成のアウトプットです。
プロジェクトマネジメント計画書
9.1 人的資源計画書作成のアウトプットです。
資源カレンダー
9.2 プロジェクト・チーム編成のアウトプットです。
ツールと技法
人間関係のスキル
人間関係のスキルは、「ソフト・スキル」と呼ばれ、チーム育成に特に重要なスキルになります。
プロジェクト・チームをマネジメントする上で必要な活動として以下のようなものがあります。
- 感情の理解
- 行動の予測
- 関心事の認識
- 課題の追跡
プロジェクト・チームをマネジメントする上で必要なスキルとして以下のようなものがあります。
- 共感
- 影響力
- 創造性
- グループの円滑な意思疎通
トレーニング
トレーニングは、プロジェクト・チーム・メンバーにコンピテンシーを高めることを意図したあらゆるアクティビティからなります。
トレーニングには、公式と非公式なものがあって、メンバーが必要なマネジメント・スキルや技術的スキルを欠いている場合は、プロジェクト作業の一部としてスキルを習得していきます。
チーム・メンバーのコンピテンシーを高める活動としては、以下のようなものがあります。
- 予定したトレーニングは、人定資源計画書に従って実施する
- 計画外のトレーニングは、観察や会話、パフォーマンス評価の結果を受けて実施する
チーム形成活動
チーム形成活動の目的は、個々のチームメンバーが効果的に協力して作業できるようにすることです。
チーム・メンバーが顔を合わせること亡く離れた場所で作業している場合は、特に重要になります。
チーム環境を作る上で最も重要なスキルは、プロジェクト・チームの問題をチームの課題として扱い、話し合うことです。
こうした課題を解決するために必要な行動には以下のようなものがあります。
- トップマネジメントの支持を取り付ける
- チーム・メンバーの積極的な参加の約束を取り付ける
- 適切な表彰と報奨の導入
- チームのアイデンティティを作り上げる
- コンフリクトを効果的にマネジメントする
- メンバー間の信頼とオープンなコミュニケーションを促進する
- 優れたリーダーシップの発揮
タックマンモデル
PMBOKでは、チームの5つの発展段階を表す、「タックマンモデル」が紹介されています。
- 成立期
チームの顔合わせの段階で、この段階では個々に独立していて心を開いていない状態 - 動乱期
活動を開始する段階で、この段階では協力的でなく心を開かない場合がある状態 - 安定期
一緒に活動する段階で、この段階では自らの習慣や行動を調整して信頼し始める状態 - 遂行期
よく組織されたチームとして機能する段階で、この段階では相互に依存している状態 - 解散期
作業を完了して、プロジェクトから離任する状態
各段階の所要期間は、チームのダイナミックスや規模、リーダーシップによって異なります。
チーム・メンバーがすべての段階を経過していくため、新しいメンバーが加わると、チームは成立期からやり直しになります。
プロジェクトの理想は、プロジェクトが終了するときの最も望ましい姿は、プロジェクトチームを解散することです。
行動規範
行動規範とは、プロジェクトチーム・メンバーとして容認できる行動についての明確な期待を設定するものです。いったん規範を設定した後は、プロジェクト・チーム・メンバー全員が規範を順守する必要があります。
コロケーション
コロケーションとは、最も活動的なメンバーとほとんどが物理的に同じ場所に集まって活動することです。コロケーションは、プロジェクトの重要な時期のみ一時的に行う場合も、プロジェクト全体を通して行う場合もあります。
当然、同じ場所に集まれない場合は、バーチャル・チームを活用します。
PMBOKでは、プロジェクトを遂行する形態として、コロケーションを推奨しています。
表彰と報奨
チーム育成プロセスの一部に、望ましい行動に対する表彰と報奨があります。要員を表彰する法案の原案は、人的資源計画書作成プロセスにおいて作成します。
個人に与えられる特定の報奨は、その人が重要だと考えているニーズに合ったものである場合にのみ効果があることを認識しておくことが重要です。また、文化的な違いについても考慮が必要です。個人主義を重んずる文化においては、チームに対する適切な報奨を設定することは難しいです。
報奨の対象は、望ましい行動にのみ限定すべきです。例えば、強気のスケジュール目標を達成するために積極的に残業することは、報奨対象にすべきですが、チーム・メンバーによる不十分な計画の結果として残業が必要になった場合には、報奨の対象とするべきではありません。
モチベーション理論
モチベーション理論については、以下の専門家の名前と理論を覚えておきましょう。
- マズローの欲求5段階説
人の欲求は5段階あって、順に満たされていくものであるという考え方。- 生理的欲求
- 安全・安定欲求
- 社会的欲求
- 尊厳欲求
- 自己実現欲求
- ハーツバーグの動機付け要因と衛生理論
- 動機付け要因
達成、認知、責任、成長、内容、昇進 - 衛生理論
給与、処遇、作業条件、会社の方針などは仕事をするための外部要因であり、不満を予防するものである。
- 動機付け要因
- マグレガーのX理論・Y理論
- X理論
人は元来仕事が嫌いでaruという考えに基づいて仕事をさせる。 - Y理論
人は適切な動機付け要因のもとで仕事をするものである、という考えに基づいて仕事をさせる。
- X理論
- 期待理論(2段階期待)
人は成功するために努力し、成功の暁には報奨を期待する
アウトプット
チームのパフォーマンス評価
チーム機能の実効性についての評価指標には以下のようなものがあります。
- 各人のスキルの改善
- コンピテンシーの改善
- 要員の離職率低減
- チームの結束力の強化
プロジェクトマネジメント・チームは、チームの全体的なパフォーマンスの評価を行う結果、トレーニング、コーチング、メンタリング、助力、パフォーマンス改善に必要な変更およびそのために必要な資源の特定などを実施します。
組織体の環境要因更新版
更新される内容には以下のような物があります。
- 教育研修記録
- スキル評価などの人事管理