「スタートボタンってどこですか…?」
Start/Stop button on a Miele tumble dryer / viZZZual.com
同じネットワーク業界で働いていた僕の友人がこのたびネットワーク業界から足を洗って実家の家業を継ぐことになりまして。
で、その友人と淡く儚い想い出を語り合っているとき、一緒に仕事したとんでもないプロジェクトのことを思い出した。
それは…
全国数百拠点という大規模なネットワーク構築を担当したときのこと。
規模が規模なだけに全国に散らばる拠点に赴き、実際に構築を行う作業員の確保が予想以上に難航。
スケジュールが6ヶ月という長期だったこともあり、いつもお願いしている業者に断られたためいろいろツテを頼って探しましたよ。
そこで見つけたCという会社。
その担当者は、
「ぜひうちにお任せください。」
「うちは全国に人員を配置しています。」
と、出てくるのは非常にたのもしい言葉ばかり。
そこまで言うのならお願いしようじゃないのってんでお願いしたんだけど、これが後に起こる大火事の火種だったとは…
C社の作業統括者さんには事前に作業手順書の配布と手順の説明を行い、さあいよいよ半年に渡る構築工事の開始という段階に入ってその火種から煙がもくもくと上がり始めたわけです。
構築工事初日、友人と私、C社の作業統括者さんはお客様本社の一角に作られたプロジェクト本部に席を設けさせてもらい、そこから各拠点に指示を送ることになっていました。
しばらくすると拠点にいる作業者から連絡が入りました。
「すいません。ルータ設置したんですけど、お客さんが通信できないって言ってるんですけど。どうしたら良いでしょう?」
「Pingも飛ばないですか?」
「えっ?いっいやPingはやってないっすけど…」
…
いやいやあなた、作業手順書読んでますかぁ?
と、言い争っている場合ではないです。
まずは原因を特定しないと。
「じゃあまず接続が問題ないか一緒に確認しましょう。」
てな感じで切り分けをしていったわけですよ。
事前に手順書読んでないなんてのは最低ですが、まあここまでは百歩譲ってよしとしましょうよ。
物理的な接続は問題ないみたいなので、後はルータの情報を確認しなくちゃだなぁなんて思って、
「じゃあルータにコンソール接続してもらってよろしいですか?」
とお願いすると、
「あの~すいません。パソコンあんまり良く知らないもので指示してくれますか?」
ときたもんだ。
怒りを通り越して呆れ返りましたよ。ほんとに。
終了予定時間も迫っていたため、通信出来ないこの状況を何とかしなければいけません。
「じゃあまずはターミナルソフトを起動してください。スタートボタンのプログラムにあるはずですから。」
と指示すると、その作業者は一言
「すいません、スタートボタンってどこですか…?」
これにはぶっ飛びましたね。
どういうことだと。
でもねこれだけじゃ終わらなかったんですよ。
その後もやれシスコルータのコマンドが分からないだの、やれPingの打ち方が分からないだの、挙句の果てにパソコン忘れましたなんてのもありましたね~。
あとから聞いた話ですがどうもこのC社、人員が足りなかったので急遽学生のアルバイトを雇ったらしいんですよ。
いや~もうあちこちで火の手が上がりまくりでした。
すでに構築段階でスケジュールも「きっちきち」だったため、とにかく手取り足取り指示をしてなんとか無事構築できたのですが、いろんな意味で学ぶことが多かったプロジェクトでございました。
友人よこのときの苦渋を想えばなんだって出来る。
新天地でもがんばれ!!