なぜプロジェクトが成功した理由を検証しないのか?
成功を検証する
「成功よりも失敗から多くを学べる」とか「失敗からしか学べない」とよく言われます。
でもそれって本当なんでしょうか?
実は成功からしか学べないこともあるんじゃないかなと最近思っています。
成功からは学ぶことが少ないと言われるのは、どうしても成功してしまうと、その成功体験が邪魔をして見落としてしまうことが多いからのような気がします。
そう考えると成功から学ぶには、まず成功することで見落とされてしまいがちなことを認識しておくことが重要。
さらに、検証をスムーズにすすめるために、どのように検証していけばよいのかをフレームワーク化しておけば効率よく気づきを得られます。
ということで、ここでは成功から何が学べるのか?どのように検証していけばよいのか?について個人的見解をまとめてみる。
成功することで見落としてしまう原因
プロジェクトが成功すると、成功が原因で見過ごしてしまうことがあると思います。
成功を検証する方法を考える前に、まず成功するとなぜ成功原因を見落としてしまうのか(あるいは勘違いしてしまうのか)について考えてみます。
成功が運や偶然のおかげであることを忘れる
成功を自分たちの実力やスキルであると思い込み、運や偶然、市場の状況などの外部要因を無視してしまう。
「内部要因 + 外部要因 = 成功」という式が成り立つとすると、実は自分たちの力でどうにかすることができる内部要因よりも、外部要因の影響が大きかったりする。
ちなみにプロジェクトが失敗したときは過度に外部要因のせいにしたがったりしますよね?
「今回は時期が悪かった」とか「いやぁ運がなかったに尽きますね」とか。
人間って不思議な生き物です。
また、長期的なプロジェクトの場合、より運や偶然で成功した可能性が高くなる気が個人的には感じます。
長いスパンのプロジェクトでは、プロジェクトを振り返ってみると、現在の行動や戦略、意思決定が最終的な結果には、ほとんど影響しない気がします。個人的には。
成功の余韻に浸る
プロジェクトが失敗したとき、そのプロジェクトが重要であればあるほど関係者はひどく落ち込みますし、その原因についても必死に考えます。
特に社運を賭けたプロジェクトや何年も続けてきたプロジェクトであれば尚更。
逆に大きな成功を収めれば当然、関係者はみんなハッピーだし、盛大なお祝いも行われるでしょう。
そしてその成功の余韻に浸り、「失敗していないのになぜ振り返る必要があるのか?」「なぜ見なおさなければならないのか?」という考えが頭によぎり、いつしか成功原因について考えることすら忘れてしまいます。
もしかしたら関係者はみんな、成功の理由を明らかにして、次のプロジェクトをドライヴできるような戦略を見出したほうが良いと、頭の中では思っているかもしれないのに、その場の余韻に流されてしまう。
プロジェクトが成功した時に検証するフレームワーク
それでは、成功したときにどうやって振り返ればよいのかについて考えてみます。
おそらく色々とやり方はあるのでしょうが、個人的にはプロジェクトが成功する度にルーチンワークで振り返りを行っていくことを考えると、フレームワーク化しておくことは大事な気がします。
振り返りを行う度に、違う方法で行っていたら、その度に余計なバイアスが入ってしまいますし、何より振り返り自体に時間がかかってしまいそうです。
そこで、成功した時に検証するフレームワークをいくつか考えてみました。
内部要因と外部要因に分けて振り返る
自分たちの力が及ぼすことができる内部要因と、自分たちの力が及ばない外部要因に分けて振り返るようにする。
振り返ってみると、もしかしたら偶然性が非常に強いことがわかるかもしれません。
その場合、今後のプロジェクトでの再現が難しいかもしれない。
でも、それを知ることは大事。
外部要因の中で、多少でも偶然を必然に変えることができることが見つかるかもしれませんし。
逆に内部要因を得たとしても、実はその内部要因は外部要因との相互関係の上で成り立っていたかもしれません。
内部要因と外部要因の相互関係についても意識しておいたほうが良いかもしれません。
質問を活用する
何もない中で、さて成功を振り返ろうと関係者が集まったところで、そもそもどうやって振り返れば良いの?と悩んでしまいます。
そんな時は、あらかじめどんなプロジェクトでも活用できる質問を用意しておいて、その質問に沿って振り返っていけば効率的です。
例えば次のような点について議論してみる。
このプロジェクトのそもそもの目的は何だったのか?
実際にプロジェクトが進行する中で何が起きたのか?
なぜそのようなことが起きたのか?
では、次回のプロジェクトではどうするのか?
時間軸を意識する
振り返りを行うときに、時間軸を意識することは大事です。
プロジェクトによって、スパンは数ヶ月から数年と時間軸は大きく異なります。
短いプロジェクトであれば、終了後に振り返れば良いかもしれません。
でも、数年に渡るようなプロジェクトの場合、長いスパンで振り返ると、どうしても外部要因が大きな要因として見えてきてしまいます。
そんなときは、適切な時間軸を意識して適宜振り返ることが重要かもしれません。
同じことを繰り返しても成功するとは限らない
少なからず成功には運や偶然性が含まれているもの。
そのため、成功した原因を得たとしても、それを繰り返しても成功するとは限りません。
日々継続する
当然ですが、スポット的に振り返っても意味がありません。
何事も継続性が大事。
以上、個人的にもまだまだできてないことなので、自戒の意味を込めてのエントリでした。
異論はおおいに認めます。