次世代の無線通信技術になるか?pCellがSFで実証実験開始
1年ほど前に「pcCell」という無線通信技術をArtemis Networksが発表して一瞬話題になりましたが、実証実験されるわけでもなく、その後音沙汰がありませんでした。
そんなpCellですが、ようやくサンフランシスコで実証実験を行うというニュースがありました。
WebTV Founder’s Super-Fast Wireless Network to Launch in SF
via:Artemis Networks pCell Network to Launch in S.F. After Dish Deal | Re/code
今回の実証実験は、無線ISP事業者のWebpassのアンテナを借りて、pCell用の送信機を設置して実験を行うとのこと。
実験は、iPhone6とiPhone6 Plus、一部のAndroid端末用に専用SIMを配布するとのこと。
pCell技術は、従来の一つの基地局を複数の端末で共有して電波を送信する技術ではなく、それぞれの端末の周囲に専用のセルを作り、端末数が増えても通信速度が一定にすることができる技術。
携帯の通信が混雑する理由は、電波が干渉してしまうことが原因です。
pCellでは「DIDO」(Distributed-Input-Distributed-Output)技術を利用して、干渉を有効活用するような仕組みを採用しています。
専用のセルをPersonal Cellと呼んでいて、セルのサイズは1センチ程度と非常に狭いため、端末を重ねてもセル同士が干渉せずに、それぞれが電波の帯域を存分に利用できる仕組みとのこと。
今までのセルラーは下図の左のように、大小さまざまなセルが隣接し合ってデッドゾーンが出来てしまうが、pCellの場合は複数のアンテナが重なるように信号を送るためデッドゾーンが発生しないとか。
pCellのメリットは、既存のスマートフォンの買い換えが不要で、基地局のアンテナを変更するだけで良いというのがメリットとのこと。
たしかにユーザー側にはメリットだけど、キャリアにとっては大きな投資になるわけで、それなりに大きな参入障壁なんじゃないかと思います。
実際に、基地局の整備には相当な投資が必要なわけで、pCellが本当にそこまでの価値があるかどうかが、今回の実証実験で明らかになってくると思います。
pCellの詳細な仕様は以下のホワイトペーパー(PDF)をどうぞ。